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【シナリオスタッフ募集2022】三次選考・シナリオ課題

2022年度の三次選考の採用課題を公開します。

例年に倣い課題の内容を公開していますが、本年は≪二次審査合格者の方のみ≫課題をお送りいただけます。
何卒ご了承ください。

■課題1
 下の【選択肢】の中から3つの言葉を選択し、それらが有効に機能する1500文字以内のプロットを作成してください。プロット中、選んだ言葉は≪ ≫で囲んでください。
(※本記事の末に過去の合格水準のサンプルを載せているので参考としてください)

【選択肢】
台風の夜/ビハインド/見えない壁/時間差/巣ごもり/すれ違い/
自撮り棒/親ガチャ/ヤングケアラー/推し/ありがた迷惑/背伸び/
名誉挽回/リモート/ゲリラ豪雨/泣き笑い/内緒話/
詰み(詰む・詰んだ)/多様性/被写界深度/共依存/苦し紛れ/
魔がさす/パラドックス/認知バイアス/パンドラの箱/
パンデミック/突貫工事/カードゲーム/アニミズム

■課題2
 好きな作品(小説・映画・ゲーム・漫画)を、最大100作品まで好きな順に書いてください。

■課題3
 下の【選択肢】の中から1つを選んで、あなたの自己アピール文を書いてください。(800文字以内)

【選択肢】
・私の一番好きなエンタメ作品
・私の一番愛するキャラクター
・私の一番大切な時間

【おことわり】
・お送りいただいた課題は選考にのみ使用し、その他の目的に使用することはありません。

■課題1 合格水準サンプル

【2020年度合格水準】《形見/見えない壁/背伸び》

 両親を亡くした幼い少女・アーシャは、祖母エデグレデに引き取られる。若い頃は凄腕の傭兵として多くの戦場を渡り歩いたというエデグレデだが、孫娘に荒事を教えるようなこともなく、ふたりは辺境の村で穏やかに暮らしていた。だがアーシャが十六になった頃、そのエデグレデも突然の事故でこの世を去ってしまう。悲しみに暮れながら祖母の《形見》を整理していたアーシャは、見たこともない異国の文字が刻まれたメダルをみつける。メダルは磨き抜かれた石のようでもあり、うっすらと金属様の光沢を帯びてもいる不思議な素材でできていた。メダルに添えられた「いつかあの場所に戻りたい、私も花守になりたかった」という書き付けを遺言のように感じたアーシャは、大好きな祖母の望みを叶えてやりたいと願う。
 「あの場所」に心当たりのないアーシャは交流のあった村人達にも尋ねて回るが、わかる者はいなかった。そこで答えはエデグレデの過去にあるのではないかと考え、昔から何度か祖母に宛てて手紙を送ってきていた「モース」という人物を訪ねることを思い立つ。
 メダルと書き付け、そして祖母の遺髪を持って旅に出たアーシャ。祖母に聞いた昔話の記憶と手紙を頼りに幾つかの町を巡り、アーシャはやがて手紙の差出人・モースにたどり着く。彼は快くアーシャを迎え入れ、エデグレデの武勇伝を語った。名高い傭兵団を率いていたこと、ドラゴン族と友誼を結んだ希有な人間であり、飛竜の背に乗って宙を舞い、どんなに不利な戦場でも臆さず戦い抜いたこと。そして、相棒の飛竜が己をかばって大きな傷を負い命を落としたことをきっかけに、傭兵を引退したこと。
 遺言の意味はモースにもわからなかったが、彼はエデグレデが何度かある山を訪れたいと語っていたことを思い出す。老いた身ゆえ同行できないことを詫びるモースに礼を告げ、アーシャはその山を目指した。
 かつての国境をまたぐ形でそびえる山は、長い間領土争いのための激戦地であったが、戦争が終結して数年経った今では旅人のアーシャでも立ち入ることができた。山に入ると、あのメダルが輝き始める。メダルに導かれるかのようにアーシャは山道を進み、やがて朽ちた木々に覆われた岩壁の裂け目の奥で侵入者を拒む《見えない壁》に行き当たる。だがメダルの不思議な力が《見えない壁》に綻びを生じさせ、アーシャはそこをくぐり抜けることができた。
 壁の向こうには、色とりどりの花が咲き乱れる渓谷が広がっていた。そこでは花々に埋もれるようにして、結晶化した多くのドラゴンが眠っていた。戸惑うアーシャの前に、一頭のドラゴンが現れる。ここは命を終えたドラゴンが静かに眠るための聖地であり、人間の来るべき場所ではない、疾く立ち去れと告げたドラゴンは自身を花守、と名乗った。
 花守はなぜ人間が結界を超えられたのかと訝るが、アーシャが差し出したメダルを見て得心する。それはかつて、エデグレデの相棒であった飛竜が己の鱗で作り、信頼の証として贈った品だった。祖母の遺志をと、花守は今回だけだと念を押し、エデグレデの友であった飛竜の亡骸の元へとアーシャを案内した。致命傷を負い、エデグレデを乗せたままこの谷まで逃れて力尽きた飛竜は、相棒に看取られて息を引き取ったこと。ここへ残らせてくれと懇願するエデグレデを、ドラゴンの聖地に人間を住まわせるわけにはいかないと拒んだこと。祖母と飛竜の物語を聞き終えたアーシャは、頭を垂れて眠る飛竜の首元にエデグレデの遺髪をかけると、老いてもなお自分より長身だった祖母にいつもそうしていたように、《背伸び》をして亡骸の頬に恭しく口づけるのだった。
 帰途についたアーシャは、故郷に戻ったらすぐにでも、魔法のメダル──飛竜の鱗──を、エデグレデの墓の傍らに葬ることを誓うのだった。

【2019年度合格水準】《古い映画/昔の相棒/テセウスの船》

 反重力装置の技術が軌道に乗り上げ、中間圏までの人間の生活が可能となり、人類は地上での居住に必要性を持たなくなった。富裕層がより高度の滞空生活権を手に入れる一方で、一般庶民は対流圏での生活が限度であり、貧富の差はそのまま高度に現れることとなっていく。主人公は17歳の少年で、オートバイや自動車といった熱機関の整備工見習いとして地上で働いている。しかし、太陽光を主要な動力源とする反重力装置の登場により、石油、石炭の市場は急速に衰退していき、熱機関は淘汰される傾向にある。
 少年はかつて見た《古い映画》の中で飛行機に魅了され、整備工を目指したものの、航空機はすべて反重力装置によって飛行しているため、内燃機関によって飛行する飛行機は現存していない。それでも少年は、いつの日か《古い映画》の中で見た飛行機で、空を飛んでみたいという夢を持っていた。
 ある日、少年は倉庫で一枚の写真を見つける。写真には若かりし頃の親方と親方の《昔の相棒》が写っており、その後ろにはあの映画で見たのと全く同じ飛行機が写っていた。少年は早速写真の詳細を親方に尋ね、親方はその飛行機なら《昔の相棒》が管理しているはずだと答えた。少年は親方に自分の夢を打ち明ける。親方は、空の上で暮らしている《昔の相棒》に会いに行くことを許可し、少年の背中を押す。
 空の上に行くためには、専用の反重力艇に乗らなければならない。少年は自らが調整したオートバイを飛ばし、野宿をしながら三日走り続け、乗り場に辿り着いた。乗り場は仕事を求めて空の上を目指す人で溢れていた。少年は乗り場で自分が乗る船を待つことにした。待っていると、声を掛けてくる男がいる。話を聞いてみると、男は一攫千金を夢見て空の上に行くのだそうだ。少年は、飛行機を探しに行くのだと男に話すも、一笑に付されてしまう。「そんなのは夢のまた夢だ、飛行機は絶滅した」と男は少年に言ってのける。
 反重力艇で浮上し、少年は空の上の一つの街に着いた。空の上では、環境規制によってオートバイは使用できない。次の乗り場まで徒歩で移動する少年の上空を、いくつもの船が往来している。その中に映画で見たような飛行機は一機としてなかった。少年は、その汚れた身なりから警察官に目を付けられたが、通り掛かった一人の男性に救われた。男性は、少年を自分の家へ誘った。怪しむ少年だったが、結局は男性と家に向かうことになった。男性は、地上に興味があり、時折少年のように地上から来た子どもが警察に捕まる前に声を掛け、そのお礼に地上の話を聞いているのだと話した。少年は地上での生活や仕事について話した。少年が見た《古い映画》を男性も見ており、二人は打ち解けて会話を続けた。
 少年が夢を語ると、男性は渋い顔をした。三年前、大きな改革が空の上で起こり、内燃機関性の乗り物の個人所有は禁止され、すべての飛行機は反重力艇に改造されたと男性は語る。信じられないという表情をする少年に、男性は《テセウスの船》の話をする。見た目が変わったとしても、型番は飛行機の頃と同じであり、記憶も残っている。どうか、変わった姿を見てもがっかりしないでほしい、存在するために形を変えることは必要な現象だと語った。
 男性の家を後にし、《昔の相棒》の家に着いた少年は、変わり果てた姿の飛行機を見て落胆する。それを見た《昔の相棒》は、少年を倉庫に案内し、あるものを見せる。それは、かつての飛行機に搭載されていた星形のエンジンだった。相棒は少年に、このエンジンを譲ると言った。あの飛行機は存在しないが、エンジンはある。地上で飛行機を作り、これを搭載すればあの時のように飛ぶことは可能だと語った。少年は飛行機を作り、地上から飛び立つことを固く誓った。

ストーリーノート採用担当