〝禁忌肢シリーズ〟第一弾
背筋も凍る恐怖の試験に
あなたは合格できますか?
『事故物件鑑定士試験』は、事故物件のトラブルを解決する架空の職業「事故物件鑑定士」になるための試験を受けることができる、試験擬態型ホラーゲームだ。
実際の会場に赴いて試験を受け、合格すると資格証がもらえるという斬新な体験は、XやYoutubeを中心に話題となった。
過去問やオンライン版を含めて100万回以上もプレイされた本作。その制作の裏側を、監督であるdrikaraと、アフターストーリーを制作した金子に訊ねた。
インタビュー
監督 drikara
本作の特徴を教えてください。
ホラーであるというのがわかりやすい特徴ではあるのですが、その他の点としてはプレイヤー自身が主人公であるという性質が比較的強い作品かなと思います。
第四境界の作品は特定のキャラクターについて探っていくストーリーが多いと思いますが、事故物件鑑定士試験ではプレイヤー以外にあまり重要なキャラクターは出てきません。キャラクター不在な分このARGではプレイヤー自身が主役を担う比重が高く、他の作品とはまた違う魅力を持ったコンテンツになっていたら嬉しいなと思っています。

過去問は公開1週間で挑戦回数が30万回を突破しました。
反響をうけて印象に残ったことを教えてください。
ホラーは人を選ぶため比較的売上が伸びにくいという傾向があり、第四境界でここまでがっつりホラーをやりにいった作品は初めてだったので、正直いろいろと懸念もありました。
それだけに、多くの方に受け入れてもらえたことが本当にうれしかったです。作品を楽しんでくださったみなさまが、SNSなどで積極的に広めてくださったおかげで、ここまで多くの方に届いたのだと思います。本当にありがとうございます。
問題作成にあたってこだわったところ、苦労したところを教えてください。
この企画は、自分がSCP財団(※1)というところで執筆した「全国一斉霊的感知力テスト」(※2)という作品をベンチマークにスタートしています。
ただ、「全国一斉霊的感知力テスト」と違い、今回は“テストであることを放棄できなかった”という点に苦労しました。
「全国一斉霊的感知力テスト」は最終的に“テストではない”というオチになっているため、問題も点数もあまり重要ではなかったのですが、今回はしっかりと点数を出し、純粋に“テストとしても楽しんでもらいたい”方針がありました。
とはいえ、テストである以上、勘でしか解けないような問題を出してしまうと一気に理不尽な内容になってしまう。けれど“霊感”というテーマを扱うからには、論理的な謎解きだけでなく、直感で解くようなニュアンスも入れたい。
試験や謎解きのように物事の原理法則を理解することと、“恐怖”という感情は本来対極にあるものだと思うので、その二つをどう両立させるかにはかなり苦心しました。
※1 SCP財団:共同創作コミュニティサイト。作品世界内に登場する架空の組織の総称。
※2 全国一斉霊的感知力テスト 記事は「こちら」
現地試験ならではのお話があれば聞かせてください。
現地開催を支えてくださったスタッフのみなさま、運営面や演出面で尽力してくださったチームメンバーのおかげで、現地には独特の空気感が漂っていました。
今回は現地ならではの要素を活用した謎解きはなかったので、当日はさまざまなことを試している受験者の方々を眺めながら、「ごめんなさい、この部屋には何もないんです」と心の中で謝っていたのを覚えています。
ただ、実際にやってみて、試験という形式がリアルの体験と想像以上に相性が良いことを強く感じました。今後、禁忌肢としても現地試験にはより一層力を入れていく形になるかもしれません。これからも、ちょっと変わった試験が登場した際はぜひ挑戦してみてください。

インタビュー
アフターストーリー部門 金子 隼人
どういった経緯でアフターストーリーを作ることになりましたか?
試験だけでなくアフターストーリーでの体験も含めて物語を表現するという枠組み自体は、当初から決まっていました。役割分担を行い、問題制作は drikara さん、アフターストーリーは私が担当させていただくことになりました。
最初はどのような体験であればホラー作品として満足度が高くなるだろうかと悩んでいましたが、藤澤やdrikaraさん、マレのクリモトさん(※3)からたくさんのアドバイスをいただき、事故物件鑑定士の業務を実際にこなす中で心霊現象に巻き込まれていく、という体験に決まりました。
※3 第四境界に所属するクリモトコウダイ氏のこと。本作にはプロデューサーとして参加。

制作内容と苦労したことについて教えてください。
アフターストーリーの物語制作からテキスト作成まで、幅広く携わらせていただきました。ただ当時は入社してからまだ一年も経っていなかったため、初めての作業ばかりで右往左往していたのを覚えています。
また、制作中に公開した過去問が予想以上の反響をいただいたので、みなさまの期待に応えられるような恐怖体験を用意しなければと、プレッシャーを感じていました。実は僕、かなりのビビリでホラーが苦手なんですが、毎晩震えながらホラー作品を研究していましたね(笑)
ただありがたいことに、ライティングの技術は藤澤から、ホラー表現は drikara さんから学べる環境にありましたので、お二人から色々なことを教わりながら制作を進めました。決して楽な作業ではありませんでしたが、本当に良い経験ができたと思います。
ホラー演出で特にこだわったポイントはどこですか?
ストーリーの終盤、とある理由でブログの記事を消去することになるのですが、そこでの演出は特にこだわりました。物語のクライマックスとなる箇所ですので、そこが最大の恐怖ポイントになるよう工夫しています。
イラストを担当してくださったギギギガガガさん(※4)や、演出を実装してくださったイロコトさんからも「こうした方がもっと怖くなるのでは」というような提案をいただきました。それらを取り入れていった結果、かなり印象に残る演出になったのではないかと思います。リリース後はSNSでみなさまの感想ポストを拝見していたのですが、無事に驚いていただけたようで、阿鼻叫喚の感想を見るたびにホッとしていました(笑)。
※4 『事故物件鑑定士試験』問題イラストをてがけた、イラストレーターのギギギガガガ氏のこと
プロジェクトを通じて成長を感じたことを教えてください。
自分が中心となって制作を進めていくのは初めてだったので、色々とミスをしてしまうこともありました。そんな中でもチームのみなさまが親身になって支えてくださったおかげで、無事に作品を形にすることができました。このプロジェクトを通じて「チームで作品をつくるとはどういうことか」を学べたことが、何より大きな成長だったと思います。
『事故物件鑑定士試験』は試験擬態型ホラーゲームという、これまでにない斬新な恐怖体験ができる作品となっています。まだ遊んだことのない方は、この機会にぜひ受験していただけますと幸いです。
みなさまの合格を心よりお祈りしております。
あなたも縺ー縺代▽になりましょう?



