10000体の
NFTが紡ぐ
代替不可能な物
『SYMBIOGENESIS』はスクウェア・エニックスが手がけるアドベンチャーゲーム。プレイヤーは10000体のキャラクターたちに断片的に散りばめられた物語を集めながら、世界の謎を解き明かしていく。
ブロックチェーン×物語という新しい試みに、どのような形で取り組んでいったのか。リードシナリオを担当した武川真哉に、その舞台裏を訊ねた。
『SYMBIOGENESIS』メインビジュアルティザー
主人公である傭兵の『Chroma』が、亡き『救世主』から託された竜討伐の使命を果たすべく、浮遊大陸を冒険する物語。
インタビュー
ストーリーノートがプロジェクトに参加することになった経緯を教えてください。
武川:
2022年の春頃、代表の藤澤とメンバーで「NFT(※1)を使ったゲームを作れないだろうか」と企画書を練っていた期間がありました。その際に相談役になってくださったのがスクウェア・エニックスの齊藤陽介さんです。結局弊社から持ち込んだ企画の実現は叶わなかったのですが、何度かディスカッションを重ねていく中で齊藤さんから、「同じようにNFT+遊びを企画しているチームがあるから、そこのシナリオを頼めないか」と、『SYMBIOGENESIS』のお仕事をご紹介いただきました。
(※1)NFT:Non-Fungible Token、非代替性トークン。本作に登場する10000体のキャラクター、クエストアイテム、挿絵などあらゆるものがNFT化されている。
『SYMBIOGENESIS』の特徴を教えてください。
武川:
何といっても「10000体のNFTアート×シナリオ」というところだと思います。物語の舞台となる「浮遊大陸(※2)」では10000体の住民が生活していて、それぞれが職業、所属といったステータスと、思想や信条、キャラクター同士の因縁からくる個別の物語を持っています。それらすべてが密接に絡み合って壮大な世界感を構築している、というところは『SYMBIOGENESIS』の大きな魅力の一つだと思います。
また、公式のDiscordサーバーを通じてプレイヤー同士が持っている情報を交換し合ったり、自身の考察を披露したりする「コミュニティに参加する楽しさ」というのも本プロジェクトの特徴になっています。
(※2)浮遊大陸:10000体のキャラクターが生活する物語の舞台。現在、公式サイトではその一部が公開されている。
シナリオを制作する上で、楽しかったことや苦心したことを教えてください。
武川:
物語には「6つの異なる種族(※3)」が登場するのですが、それぞれの視点に立って多角的に一つの事象について考えていったり、種族の歴史を作ったりしていく過程はすごく楽しかったです。
『SYMBIOGENESIS』は「考察」を売りにしているゲームでもあるので、この場で詳しいことは言えないのですが、6種族の関係性はとても興味深いものになっていますので、ぜひゲーム本編をプレイして確かめてみてください!
一方で「NFTとしての価値の付け方」については苦心しました。ゲーム内に登場するキャラクターは、ほとんどすべてがNFT化されており、実際にオークションで競り落としたり、プレイヤー間でETH(イーサリアム)(※4)等によって取引したりすることが可能になっています。キャラクターの商品価値を物語の力でどう担保するか、という点は『SYMBIOGENESIS』のシナリオを作る上での大きなテーマだったように思います。
(※3)6つの異なる種族:浮遊大陸には頭に角を生やした『角人』、体の一部が機械化された『防人』など個性豊かな種族が住んでおり、主人公Chromaの冒険を盛り上げてくれる。
(※4)ETH(イーサリアム):仮想通貨の一種。
本作をまだプレイしたことがない方にむけて、ひとことお願いします。
武川:
『SYMBIOGENESIS』はとても懐の深いゲームです。Discordを駆使して、がっつり情報を集めつつ、この世界の真相を追求する「コアプレイヤー」的な遊び方はもちろん、シナリオの解放と「宝さがし(※5)」中心にプレイする「ライトプレイヤー」的な遊び方でも十分楽しめる設計になっています。ぜひ、10000体のキャラクターが待つ「浮遊大陸」に遊びに来てください!
(※5)宝さがし:マップ上には様々なアイテムが隠されており、特定の箇所をクリックすることでクエストアイテムを入手することができる。クリックできる回数には制限があり、コンプリートするためには正しい情報や戦略が求められる。