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2022.09.12

// 採用関連

いつか物語を描いてみたい君へ ─シナリオスタッフ募集2022

藤澤 仁(storynote代表)

※本記事は 2021.10.21にnoteに載せた内容の転載です

日本のエンタメのストーリー水準を向上させる

株式会社ストーリーノートの企業理念は、≪日本のエンタメ作品のストーリー水準を向上させる≫です。

この言葉は、もしかすると「いいシナリオを創ろう」というシンプルな号令のように見えるかもしれません。

しかし、真意はちょっと違います。

この言葉には、

私たちは、日本のエンタメ作品のストーリーが世界水準と比して低いことに問題意識を持ち、その解決に正面から立ち向かう。

という意志が込められています。

この理念は、2018年の会社創設時から掲げているものですが、私自身がこの問題意識を持つようになったのは、それより10年ほど前のことになります。

はじまりは、とてもシンプルな気づきでした。
ピクサーの作品群を観ているときに、「どうしてピクサーは、こんなにクオリティの高い作品を連続で作れるんだろう」という疑問を持ったのです。
私は、きっとそこにあるであろう秘訣のようなものを知りたくなり、色々と調べ始めました。

この頃の私は、『ドラゴンクエスト9』の開発を終え、『ドラゴンクエスト10』のシナリオ制作(書き溜めてあったもののリファイン)に着手しようとしていた時期でした。
私は、当時出版されていたわずかなピクサーの関連書籍や、セルビデオ特典のメイキングムービーなどをすべて集め、繰り返し見続けました。
そうすると少しずつ、彼らの手法───クオリティの高い作品を作るための秘訣のようなものがわかり始めてきたのです。
私は、その手法を自分なりに解釈し、当時のドラクエのシナリオチームに適用していきました。
それはすなわち、『個』の力ではなく『グループ』の力で物語を創るという新たな手法の手探りの始まりでした。

実際に試してみたことは、無数にあります。
その試行錯誤の話は別の機会に語ってみたいと思いますが、中にはまったく機能しなかったり、考え方の違いからスタッフ間の感情のもつれを招いてしまったりなど、失敗も少なくありませんでした。
それでも、成果は少しずつ見え始めるようになってきて、私はこの頃からこう確信するようになっていったのです。

「この手法を突き詰めていけば、いつか自分たちは世界に堂々と通用する、日本のエンタメ作品のストーリー水準を向上させる境地に辿り着けるはずだ」、と。

ピクサーの研究が昂じた結果、どうしてもピクサーで働きたいという思いが生じてしまい、2014年にエメリービルの本社に往訪させていただきました。結局実現しませんでしたが……。

いつか物語を描いてみたい君へ

『パラサイト 半地下の家族』は、2019年の韓国映画です。
この映画は、同年のアカデミー賞において、『作品賞』、『監督賞』、『脚本賞』など4部門を受賞しました。
これは、1927年から100年近く続くアカデミー賞史上、初の外国語映画による『作品賞』受賞という大変な快挙でもありました。

この報せを聞いた時、日本でエンタメに関わっている人ならば、誰もが考えたはずです。

「なぜ韓国映画にはこんなことができたのか」
「なぜ日本映画にはできなかったのか」

『パラサイト』は、決して奇跡的に生まれた偶然の産物などではありません。
韓国のエンタメは数年前から世界水準と比しても飛躍的な成長を遂げており、その一つの象徴が、このアカデミー賞受賞という出来事だったに過ぎないのです。

好き嫌いはあると思いますが、面白い映画を作ることに国民性や予算など関係がないと知らしめた傑作だと思います。

今、日本人のどのくらいの割合の人が把握しているのかわかりませんが、韓国のエンタメは、映画、テレビドラマ、アイドルの展開など、どれも世界最高水準にあります。
彼らは、別にアメリカ人でなくても世界に通用するエンタメは生み出せるということを、結果と共に証明して見せているのです。

韓国ドラマがなぜ面白いかを論じた記事に、こんな内容が書かれています。

 驚くのは、日本のドラマで重要視されている「主演俳優の競争力」「作家の信頼性」よりも、「ストーリーの魅力」「シナリオの完成度」「素材の斬新さ」つまりは「脚本が面白いかどうか?」が重要視されている点です。

(参考:韓国ドラマ:強さの理由③視聴者を唸らせる脚本はこうしてできる

これは、以前読んだピクサーの本にも、そっくり同じ内容のことが書かれていました。

ピクサーはCGを制作する映像表現の会社だが、映画を作る上で一番重要なのは、結局『脚本』なのだと。

映像作品において、観客を何より喜ばせる大切なものは、『脚本』である。
これは真実を語った、間違いのない言葉であると思っています。

韓国ドラマの記事は、こんな風に読み取ることもできそうです。
大切なのは「脚本が面白いかどうか?」であって、それを書く脚本家ではない、と。
脚本はその内容自体が評価されるべきであって、脚本家の信頼性で測られるものではない、ということです。

一人の人間が、誰も思いつかないような素晴らしいアイデアを無限に思いつく可能性がゼロだとは言いません。
ただ、一人の人間の発想力には限界があると考えた方が自然だと私は考えます。
だからこそ、『グループ』で創ることの意味があるのです。
まだ誰も思いついていない斬新なアイデアを持つ人が知恵を寄せ合い、誰も見たことのない世界、物語を生み出していく。
そのためには、新しい発想をもたらしてくれる人材が常に必要となります。

次に世の中をあっと驚かせる傑作を描くのは、優秀な脚本家ではなく、まだ一度も脚本を書いたことのない、『いつか物語を描いてみたい』と夢想しているあなたである可能性は大いにあるということ。
世界水準を目指すシナリオ会社を営む者として、私はそのように思っているのです。

シナリオスタッフ募集2022

株式会社ストーリーノートは、創設3年半になりました。
毎年10名程度の新規採用を実施しており、順調に成長を続けています。

繰り返しになりますが、私たちは、

「日本のエンタメ作品のストーリーが世界水準と比して低いことに問題意識を持ち、その解決に正面から立ち向かう」

そういう会社です。

今年もまた、10名前後の新たな仲間を募集します。

私たちの想いに共感し、共に高みを目指してくれる同志に、是非名乗りを上げてほしいと願っています。
志が高い人であれば、未経験者歓迎です。

皆さんにお会いできることを楽しみにしています。

※2022年の採用は終了しています。2023年の採用は2022年10月4日から開始します。

2021.10.21
藤澤 仁