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// ARGミステリーコンテンツ

人の交換日記(第四境界)

CEDEC AWARDS 2025ゲームデザイン部門優秀賞 受賞作品

担当範囲
企画・脚本・制作・運営
企画・制作
第四境界
サービス開始日
2025.01.28
ジャンル
ARGミステリーコンテンツ
第四境界公式X
https://x.com/daiyonkyokai
販売ページ
https://shop.daiyonkyokai.net/products/hitonokoukannikki

“彼女たちは人殺しです”
女子小学生が残した交換日記は
凄惨な事件の真実を語り始める

『人の交換日記』は第四境界が制作・販売した「人のシリーズ」第三弾となるARGミステリーコンテンツ。プレイヤーは女子小学生の交換日記を手がかりに、凄惨な事件の真相へ迫っていく。実在するフリマサイトで行われた初回販売では、およそ1時間で完売するほどの反響を呼んだ。

シリーズの集大成を目指した本作は、どのようにして生まれたのか。監督補の藤田大輔に、制作の背景を訊ねた。

インタビュー
監督補&シナリオ 藤田大輔

「交換日記×ARG」となった経緯を教えてください。

「人のシリーズ」新作の企画にあたり、「新しいキャラクター設定」と「覗き見たくなるアイテム」という2つのテーマを制作チームで掲げました。自分にとって、『人の財布』と『人の給与明細』は完成度の高い作品で、それらと並ぶ企画にするためには、これまでにないキャラクターが必要だと感じていました。また、「人のシリーズ」は他人の私物を覗く背徳感や好奇心を入口としています。 過去作も、その点で強い魅力を持ったアイテムでした。チームで何度も議論を重ねてたどり着いたのが、「小学生の交換日記」という案です。そこから「小学生の交換日記から、ある凄惨な事件が明らかになる」という企画に繋がりました。

会議で初めて提案したとき、藤澤(第四境界総監督)が即座に「面白い!」と評価してくれたのが忘れられません。その場にいた全員の賛同もあり、満場一致でGOサインが出ました。会議が終わった後は、チームでひとしきり喜びましたね(笑)。こんなふうに一発で企画が通るのは、本当に珍しいことなので。

担当されたパートや制作の進め方について教えてください。

監督補として、コンテンツの企画・制作全般に携わりました。企画の立ち上げからシナリオの考案、謎解きの制作など、担当範囲は多岐にわたります。『人の交換日記』は「シリーズの集大成にする」という大きな目標のもと、社内外の多くの方と共に作った作品です。
例えば、交換日記の内容は今泉(※1)が監修し、日記に書かれた文字は新入社員を含むスタッフによる手書きです。本のデザインは第四境界の若手デザイナーが手がけ、物語の核となるミステリー部分は藤澤が試行錯誤を重ねて完成させました。これ以外にも、ここには書ききれないほど多くの方が関わっています。

監督補としてコンテンツ制作に参加するのは初めてで、不慣れな点も多く、迷惑をかけてしまった場面もたくさんありました。それでも最後まで走り抜けられたのは、制作に関わってくださった皆さんのおかげです。この記事を読んでいる方には、本作は「多くの仲間が結集して作り上げた集大成」であることを何より強くお伝えしたいです。

(※1)ストーリーノートのシナリオライター今泉麻奈美のこと。第四境界ではクリエイティブ・チーフを務める。

実際の交換日記。書かれている文字はフォントではなく手書き。

本作の特徴を教えてください。

『人の交換日記』はシリーズ作品の中でも、特に物語性の強い内容になっています。ストーリーノートの「チームで物語を作る」という制作スタイルの強みが、存分に発揮された結果と感じています。
先述の通り、物語の核となるミステリー部分は藤澤が手がけています。それはチームにとって羅針盤のような存在で、その核があったからこそ、企画の軸がぶれることなく試行錯誤を繰り返すことができたと思います。
遊んでくださった方の感想を見ると、「面白かった」だけでなく、「鳥肌が止まらなかった」「心が苦しくなった」など、強く感情を揺さぶられたという声を多くいただきました。

フリマサイトでの販売が話題になりましたが、どのような経緯があったのでしょうか?

この物語は、架空のフリマサイト「リフリカ」で交換日記を購入するところから始まります。実は、企画を立ち上げた当初から「フリマサイトで交換日記を買う」という導入部分は決まっていました。
制作を進めるなかで、クリモトさん(※2)から、「本当にフリマサイトで販売してみませんか?」という提案をいただきました。
数量限定ではありましたが、より自然な形で物語の世界に入ってもらえるのではと思い、フリマサイトでの販売に挑戦したという経緯です。
今回の販売方法のように、第四境界は常に新しい試みに挑戦する姿勢を持っています。だからこそ、物語表現の可能性を切り開いていけるのだなと感じました。

(※2)第四境界に所属するクリモトコウダイ氏のこと。本作にはプロデューサーとして参加。

発売当初は本物のフリマサイトで販売されていた。(現在は購入不可)

交換日記の“平成っぽさ”を出すために、どんな工夫をしましたか?

一番大きなポイントは、やはり交換日記のデザインですね。あの頃の女児向け文房具にはどんな特徴があったのか、当時のデザインを調べながら、チーム内でいろいろと話し合いました。私は妹に頼んで、小学生の頃に使っていた文房具を実家から探してもらいました(笑)デザイナーの方は、こちらのイメージを的確にデザインするだけでなく、完成度を高めるための提案も多く出してくれました。そのおかげで、当時の雰囲気を感じられる見た目になったと思います。

他にも、日記の中に書かれているテキストにも細かな工夫を加えています。当時の流行を反映した内容はもちろん、文字の書き方や言葉遣いなども、なるべく当時の小学生らしく見えるように、今泉監修のもとチームで様々なアイデアを出しました。手書き文字を担当した社内スタッフも、キャラクターの性格や癖に合わせて丁寧に書き分けてくれました。全員のこだわりによって、リアリティのある交換日記が生まれたと思います。

制作の過程で苦労したことや、成長を感じたことを教えてください。

苦労したのは、やらなければならない作業が膨大にあり、優先順位を見失ってしまったことです。タスク管理や進行管理がうまくいかず、制作が思うように進まない時期がありました。焦りと不安もあり、正直かなり追い詰められていました……。
そんな時に救ってくれたのが先輩社員のアドバイスです。タスクをどのように整理すべきか、進める上で気をつける点などを具体的に教えていただきました。そのおかげで、目の前の作業に振り回されるのではなく、全体を見渡して動くことを意識できるようになりました。制作に取り組むための姿勢が大きく変わったと感じています。

『人の交換日記』は、私にとって挑戦の連続でした。初めての経験に必死で食らいつきながらも、数えきれない学びを得られたと思います。それと同時に、反省すべき点も多くあり、自分の未熟さも痛感しました。この経験を活かし、次は完成度をさらに高め、より面白い作品を皆さんにお届けしたいです!