探れ。特殊少年更生施設が
配布する冊子に込められた
その人物の思いを──
「かがみの特殊少年施設」の追加コンテンツとして制作された「令和6年度施設案内冊子」。シリーズの舞台となった施設の案内冊子が実際にプレイヤーの手元に届き、冊子に秘められた謎を解き明かしながら、まだ語られていない施設の闇に迫った。本作はどのように生まれたのか。サイトコンテンツを制作した安藤未沙稀に、その裏側を訪ねた。
インタビュー
シナリオ部門 安藤未沙稀
Webで公開中の「かがみの特殊少年更生施設」と比べて、主な違いや新しい要素を教えてください
最も大きな違いは、調査の対象が広がったことだと思います。手元にある冊子をめくりながらWebサイトを調査することになるので、より施設の存在が近くに感じられるようになったかもしれません。
また、この冊子は(謎解きにも使用しますが)あくまで施設案内なので、かがみの本編では語られていない施設のディティールを味わえるのも大きなポイントになると思っています。
冊子の掲載内容はチーム内で分担して制作したのですが、個人的にも、ページが完成していくにつれて施設の解像度がどんどん上がっていくのが楽しかったです。私はかがみの本編の制作には参加しておらず、ほぼファンのような立ち位置で冊子制作に参加していたので、以前からかがみのの制作に携わっていた先輩方の担当ページを見るたび、「役得だ……!」という気持ちになっていました。

企画が始まった経緯を教えてください
かがみの本編は、ありがたいことに公開直後から大きな話題になり、たくさんの方に遊んでいただきました。その反響を受けた社内もかなり盛り上がり、かなり早い段階で藤澤から「施設案内冊子と設定資料集(※1)を作ろうか」という提案がありました。株式会社SANKYO様からのご支援もあり、そこから発売に向けて、一気にプロジェクトが走り始めています。
なので、この「令和6年度施設案内冊子」は本編の公開時点では存在していなかった企画です。私はこの企画が立ち上がった時点ではまだプロジェクトに参加していなかったのですが、プロジェクトチームからはとにかく「遊んでくださったプレイヤーのみなさんに、なるべく早く何かをお届けしよう」という熱量を感じていました。
その想いが伝わったのか、プレイヤーのみなさまからもたくさんの反響をいただき……チームで大いに喜んだのを覚えています。
交錯員の皆様へ
— 第四境界 (@daiyonkyokai) August 16, 2024
いつもありがとうございますhttps://t.co/g3ieEbFrBJ#かがみの特殊少年更生施設 pic.twitter.com/w3sYdrfH1s
内容に関しては、基本的には藤澤が「かがみの本編が深まるような内容」「プレイヤーがまだ知らない新たな謎」という方針を出してくれていたので、それに則って体験の流れを考案していきました。その中で、冊子という媒体を使ってどのような表現ができるかを考えていき、今の形となった次第です。
(※1)「令和6年度施設案内冊子」と同時に「公式設定資料パンフレット」が発売された。販売ページはこちら
無料だった「かがみの特殊少年更生施設」の有料続編作成ということで、難しかった点はありますか?
設定資料集においても同様ですが、かなり強く意識していた点が二つあります。
一つ目は、この冊子や謎解きの過程で判明する情報が、かがみのというコンテンツをプレイする上で必須にはならないこと。二つ目は、あくまで知っているとニヤッとできるような、追加コンテンツという位置づけを踏み越えないこと。
一方で、どうすれば無料のARGをプレイしてくださった方に「買ってよかった」と思っていただけるか、ということも同時に考える必要がありました。これは、先述した前提ばかりを意識すると疎かになりかねないので、そこのバランス感覚は大事にしています。

とは言え、最初から最後までずっとバランスに気を配りながら制作していたわけではありません。チームで話し合ってストーリーの方向性を複数案出ししていく中で、本編からは近すぎず遠すぎない、ちょうどよい塩梅の切り口が見つかりました。なのでその後は「必須の内容にしない」というブレーキのことはあまり考えず、とにかく買った人が喜んでくれそうなものを、という意識で制作を進めることができました。
こだわったギミック、作品があれば教えてください
体験の満足度を上げるため、謎解きとは無関係な新規のサイトページをいくつか作成したのですが、個人的にはそれらのページがかなり気に入っています。これも、冊子側にある謎解きとは関係ないトピックのような、ただ施設の実在感を味わえるだけのページですね。
記載内容に要件が一切なかったので、自由に内容を決めて制作しました。先述したように、私はかがみの本編の制作には関わっておらず、ただ本編を楽しくプレイした人として冊子コンテンツの制作に関わっていたので、本編でも愛宝新聞を作成していた虎渡(※2)に新たな愛宝新聞の作成をお願いしたりと、かなりファン目線でページ内容を考えました。
もちろん、謎解きに必須ではないという性質上、場合によっては調査完了まで見つけてもらえないという悲しい宿命を背負ったページたちなのですが……見つけた方には「おっ」と思っていただけると嬉しいです(笑)

また、Webサイトの調査過程で出てくる“とある資料”があるのですが、そちらも気に入っています。手書きの資料なのですが、記載内容だけでなく、筆跡などの視覚情報を表現に使うことで、手書きであるという点を最大限利用できないか挑戦しています。
(※2)ストーリーノートのシナリオライター虎渡由姫のこと
プロジェクトを通して成長を感じたことを教えてください
私が入社して初めて本格的に関わったプロジェクトが「令和6年度施設案内冊子」だったので、体験の流れの作り方、資料の作り方といった初歩的なことから、謎解きはどのようにして作るのか等、本当に多くのことを冊子およびサイトコンテンツの制作過程で学びました。同時に、ものを書くだけが仕事じゃないということを身をもって学ぶ場でもありました。まさか自分が謎解きを作ることになるなんて、学生時代の自分に話しても絶対に信じないと思います。
右も左もわからないような状況でしたが、かがみの本編の制作に関わっていた多くの先輩方に、本当にたくさん支えていただきました。また、途中経過から藤澤に細かく見てもらい、直接アドバイスをいただけたのも、安心して進めることができた大きな要因だったと思います。たくさんのことを手探りで進めていく中で、チームで制作しているという状況が強い心の支えになっていました。
かがみのはこれからも様々な展開を控えておりますので、ぜひ楽しみにお待ちいただければと思います。

