Works実績

// 推理アドベンチャーゲーム

ソフィアは嘘と引き換えに

担当範囲
企画・シナリオ
開発
MUTAN×ストーリーノート
展開媒体
Steam®
発売日
2025.07.03
ジャンル
推理アドベンチャーゲーム
ストアページ
https://store.steampowered.com/app/3326660
公式X
https://x.com/SofiaLies_PR
公式サイト
https://sofia.mutan.co.jp/

殺したのは私。でも私じゃない──
監視カメラ越しにのぞき見るのは
多重人格の少女が抱える昏い記憶

2025年にリリースされた『ソフィアは嘘と引き換えに』は、その独特なゲーム性と心揺さぶるストーリーが特徴の多重人格推理アドベンチャーゲーム。ストーリーノートとして初の試みであるオリジナルアドベンチャーゲームの開発に、どのような想いを込め、どのように制作を進めたのか。メインスタッフの4名が、今だから言える本音を語り尽くす。

みなさんの役割分担から教えてください

原:
ディレクターとして、シナリオを含むゲームデザイン全般やプレイヤーの体験がより良くなるように、さまざまな要素を監修していました。

河村:
ゲームシステムまわりを中心に担当していました。セリフがエラーなく進行するか、矛盾がないかをチェックする役目です。

神宮司:
シナリオの執筆を一部担当させていただいた他、ソフィアのセリフに合わせた表情や動きをどうするか考えたり、ひたすらバグと格闘したり、さらには翻訳チェックまで担当したり……と「なんでも屋」でした。

阿久津:
私はプロジェクト後半からの参加で、セリフ作成、デバッグ作業、そして広報用の4コマ漫画の執筆を担当させていただきました。

プロジェクトはどのように進めたのでしょうか?

原:
実は……開発中盤でさまざまな事情が重なり、一度「全ボツ」に近い状態になったんです。別の大きなプロジェクトと重なっていたこともあって、本当にギリギリの状況で。

河村:
「止めるか、進めるか」の瀬戸際でしたね。そこで、藤澤さんと今泉さん(※1)も交えて一週間、短期集中型のロングミーティングを行ったんです。人格ごとのトラウマや事件との関わりをパズルのように組み替えて……。最終日に全人格の動機がガチッとはまった瞬間、「行ける!」と全員が確信しました。

(※1)ストーリーノートのシナリオライター今泉麻奈美のこと

原:
あの一週間は奇跡でしたね。そうしたみなさんの協力もあり『なんとしてでも、この作品を完成させなきゃ』という想いがどんどん高まっていきました。

神宮司:
私は入社直後にその様子を見ていたんですけど、最初は正直「このゲーム本当に完成するのかな?」って不安に思う部分もあって(笑)。でも、ストーリーが固まって、キャラクターを深堀りしていって、イラストレーターの清原さん(※2)からソフィアの絵が上がってきて……そのイラストのあまりのインパクトに「これは絶対に形になる」と空気が変わったのを覚えています。

(※2)本作のキャラクターデザインを担当する清原紘氏のこと

原:
わかります。イラストを見た時、「行けるぞ」と安心しましたね。まぁ、そこからが長かったんですが(笑)。

神宮司:
長かったですね……! ただ、イラストを真っ先に見ることができたり、3Dモデルの最新映像が確認できたり、と役得な場面が多かったのは嬉しかったです。ときにはバグの映像が共有されることもあるんですが……個人的には、ソフィアの脱獄バグがお気に入りです。「囚われの身なのにどこ行くねーん!」とチームで大爆笑しておりました。

システム面での苦労はいかがでしたか?

河村:
ひとつの人格が話した情報が、別の人格のフラグになる。その管理が地獄で……。ひとつのセリフに対して、チェック項目が膨大にあるんですよ。スプレッドシートとひたすら睨めっこする日々を送っていました。

原:
ゲームの性質上、会話のフラグ管理がとにかく複雑なんです。この会話を踏んでないとこの会話が出ないとか、この会話を踏んでると別の会話に飛ぶとか、かなり細かく制御されていて……。かつ、ちゃんと会話が自然になるように、と意識していました。

河村:
プログラマーさんが用意してくれた仕組みの中でなんとかやりたいことを実装したいが、うまく場合分けができない……! と困った時に活躍したのが、高校数学の知識です(笑)

原:
ライター志望者がこれを聞いたら驚くかもしれませんが、ゲームのシナリオには数学的思考が不可欠なんです。一本の直線のドラマを書くのではなく、プレイヤーの体験が乗っかった上でゲームのシナリオを書くので、プログラミング的な考え方が必要といいますか。

神宮司:
実はシナリオって、めちゃくちゃ理屈で成り立ってますからね。

河村:
ですね。オチのつけかたが決まっている場合、そのためにはこういう情報があって、こういう順番で辿りつかないとおかしいよね、みたいな考え方をしていくイメージです。

原:
先にこの人格が出てた場合、こっちのセリフが先に出るのおかしいよ、みたいな。そういうことが無限にあったので、一般的なデバッグに加えて、『シナリオのデバッグ』に多くの時間を費やしました。

阿久津:
ソフィア一人でも膨大な量なのに、5人もいましたからね……! あと、ロジックを実際のテキストに落とし込むのも大変でした。本作には、開発するにあたり「2行×2タップ、合計4行」という絶対的な制約があって。

河村:
UIの関係で、どうしても外せない制約だったんですよね。

阿久津:
文字数が1文字でも溢れると入りきらないので、パズルを解くように言葉を削り、組み替えて……。必要なキーワードを入れつつ、とにかく自然な日本語になるように調整しました。

神宮司:
セリフが変わると3Dモデルの動きや、フラグとなる情報の出るタイミングが変わったりもするので、ひたすら調整の日々でしたね。

登場する人格のキャラクター性が大きな魅力の本作。ソフィアたちはどのように生まれたのでしょうか?

河村:
初期の企画書は「Zeroth Sofia」という名前でした。ソフィアは最初からソフィアでしたね。

原:
多重人格の中にいるキャラクターを設定するなら、なるべく分かりやすい個性があった方がいい。なので、幼い子、ちょっと姉子肌、おどおどしている子……と自然に振っていったらそれぞれの人格が生まれていきました。

神宮司:
キャラクター談義での河村さんの熱量、今でも覚えてます。

河村:
元気っ子への愛を叫んでいましたね。「サイドテールもしくはポニーテール、イメージカラーは黄色!」と全力で主張した結果……あとはお察しの通りです。ちなみに、『Project:;COLD 2.0』(※3)の大澤すみれ(※4)にも同じ情熱が注がれています。

(※3)日常侵食型ミステリーゲーム『Project:;COLD 2.0 ALTÆR CARNIVAL』のこと

(※4)『Project:;COLD 2.0 ALTÆR CARNIVAL』のキャラクター大澤すみれのこと

河村:
ソフィアたちの話に戻りましょう。初期のキャラクター資料を引っ張ってきたのですが……今見返してもかなり解像度が高いですね。

初期のキャラクター資料(ネタバレ注意)

初期のキャラクター資料(ネタバレ注意)

原:
懐かしい……。当時から、キャラクターの個性が立っていますね。

阿久津:
どのキャラも本当に魅力的なのですが……私は、主人公を補佐するエリート捜査官の「リンジー」を推してます。実は、私が勝手に「リンジーは冤罪を恐れている」という裏設定を付け加えてセリフを書いた箇所があって。原さんに却下されるかなと思ったら、「いいじゃん」と採用されたので嬉しかったです。

原:
あそこ、なんか締まるんですよね。その日の取り調べが終わったら、「相方のリンジーと少し話すか」「そのまま取り調べを終えるか」を選べるんですが……前者だと、リンジーが何を考えているのかとか、主人公フィリップとリンジーとの関係性が若干垣間見えたりだとか……阿久津さんのおかげでいい感じになりました。

阿久津:
良かったです! 楽しく書かせていただいて、とても思い入れがあります。

神宮司:
書いていると愛が深まりますよね。私も、テキストを書かせていただいてる中で「オドオドとしつつもソフィアのために頑張る」というギャップを持つフローレンスに惹かれていきました。フローレンス可愛い可愛いって思いながら……。

原:
わかります。どの子も平等に愛してはいるんですけど、僕の場合、接してる時間が一番長かったのでエイミーに思い入れがありますね。エイミーの持つトラウマをひも解いていくツリーの作成が結構苦戦しまして。一番手がかかった人格ですし、あとは声優の日向さん(※5)の演技が良すぎましたね。

(※5)『ソフィアは嘘と引き換えに』にて、ソフィアを含めた五つの人格の声優を務めた日向葵氏のこと

神宮司:
……実は私、最初はフローレンス派だったんですが、日向さんの演技が入ってからエイミー推しに転んでしまいました。特に、仲が悪い状態で彼女を犯人に選んだときの……あの「えぐえぐ」と泣く演技がすごくて……!

原:
収録現場でも、渡邊さん(※6)が「いい……」って聞き入ってましたよね。開発陣のイチ押しシーンでも取り上げたくらい、強く印象に残っています。

(※6)『ソフィアは嘘と引き換えに』の開発パートナーである株式会社MUTANの代表取締役、渡邊弘之氏のこと

プロモーションマンガはどのような経緯ではじまったのでしょうか?

河村:
最初はやる予定がなかったんですが……新人研修発表会のスライド内で、ソフィアのミニキャラが登場したんですよ。「誰だこの可愛いソフィアを描いたのは」と思ったら阿久津さんで。

阿久津:
お仕事としてイラストに挑戦したかったので、「描けるぞ」と全社員にアピールしてみました。

河村:
ということで「もしかしてマンガ描けたりします?」と声をかけたところでソフィアの4コマ企画が始まりましたね。

神宮司:
4コマは基本的にXとnoteに投稿しているのですが、先日の生放送(※7)では日向さんがアテレコしてくださってましたね。

(※7)2025年12月に行われた、『主演声優・日向葵×若手開発スタッフによる実況プレイ生配信』のこと

阿久津:
そうですね。あれは今まで描いたマンガの中でも一番豪華だったのですが、2025年をステキに締めくくっていただいたな、と感慨深いものがありました。

海外展開で大変だったことはありますか?

阿久津:
英語ならなんとなくわかるんですけど、中国語のチェックは手探りで……。翻訳会社さんを信じつつ、あるべき箇所にあるべきセリフが存在するかどうか、実機で文字化けや表示崩れがないか、ひとつひとつしらみつぶしに確認しました。

神宮司:
特にアナロジーワード(その推測でその言葉を導き出さないとゲームがそれより先に進まないキーワード)として設定していた「ミサンガ」には苦労しましたね!

河村:
我々もこの時に知ったのですが、中国圏においてミサンガは一般的ではないんですよね。無理やり翻訳すると「ひも状のお守り」といった表現になってしまって、これだと推測させるキーワードとしては使えないなと。そこで、中国語版だけ特別に、ソフィア側からそのワードをこぼすようにロジックを組み替えました。

原:
言語だけでなく文化の問題が付きまとうので、問題が起こるたびにチームでどうしようかをひたすら議論し対応しました。最初のローカライズ挑戦としてはあまりに難易度が高い作品でしたが、これを乗り越えた今、もう怖いものはないですね。

最後に、この記事を読んでいるみなさまへのメッセージをお願いします

阿久津:
入社直後にシナリオから広報漫画まで、やりたいことを全部やらせてもらえる贅沢な現場でした。一番最初に関わったプロジェクトがソフィアで良かったな、ストーリーノートに来て良かったな、と感謝でいっぱいです。これからもソフィアたちをよろしくお願いします!

神宮司:
入社直後からずっと成長を見届けてきて、頑張って水をやって育ててきたプロジェクトだったので、私にとってソフィアは友だちのような存在で……共に成長できたのは一生の財産です。東京ゲームショウでお手伝いしたのもいい経験でした。これからも色々な場所でみんなの目に触れられるゲームであり続けて欲しいなと思います。

河村:
最初こそ各員の意見が食い違ったりもしていましたが、 徐々に方向性が整理されていって……最終的には、全員が同じ完成形イメージの下でゲームを作ることができた。そんな過程を含めて、本当にこのメンバーで最後までやれて良かったな、と思います。

原:
ソフィアはストーリーノートとMUTAN(※8)の共同出資で作ったゲームなんですけど、本当に小さいチームでして……シナリオ制作専門の我々が、シナリオ以外でも手が足りないところがあれば何でもやるしかありませんでした。大変ではありましたが、全力を尽くしましたし、確かな学びがある一方、反省点もある。すべての経験が、今後、特にLorebard(※9)作品で活きると信じています。

(※8)本作の開発・パブリッシャーを担当した株式会社MUTANのこと

(※9)ストーリーノートのADV専門ブランドLorebardのこと

河村:
それと、もう一つ。本作は殺人事件の真相を解き明かすミステリーゲームですが、女の子との信頼関係を築く"感情の"ゲームでもあるんです。ストーリーノートは物語屋さんなので、「人の感情を揺さぶる」ことをかなり意識してソフィアを完成させました。ぜひ、手にとって楽しんでいただければ幸いです。

原:
アドベンチャーゲームは、今でも昔の作品が遊ばれていて、時間が経っても価値が下がりにくいジャンルです。本作も、刺さる人には深く刺さるはず。ぜひ、謎解きが好きだとか、推理が好きだとか、単純にソフィアが可愛いと思った方などに、遊んでいただければと思っております。

ゲーム開発未経験者が『ソフィアは嘘と引き換えに』をつくるまで

企画編|https://note.com/sofialies_pr/n/n639f37582660

シナリオ編|https://note.com/sofialies_pr/n/n639f37582660

開発編|後日更新予定

BEHIND THE PRESS RELEASE:「ソフィアは嘘と引き換えに」MUTAN×ストーリーノート

https://globalprwire.com/mediacolumn/behind-the-press-release_1_mutan