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// 体験型絵本

まいごの女の子とトレンディ★ゴースト ~あるいて つくる えほん~

担当範囲
企画・脚本・制作
発売日
2023.10.1
企画・制作
ストーリーノート
ジャンル
体験型絵本
公式サイト
https://sites.google.com/
view/trendyghost/
公式X
https://twitter.com/
trendyghost
公式Instagram
https://www.instagram.com/
trendyghost_kusege/

storynote二本目の絵本(※1)企画となった『まいごの女の子とトレンディ☆ゴースト』(※2)。「あるいて つくる えほん」なるこの作品は、ところどころ空白になっている未完成の物語を、街のお店をまわってスタンプをおすことで親子で完成させていく【体験型絵本】企画だ。

これまでスマホゲームやARGのシナリオを手がけてきたstorynoteにとっても、実際に手に取れる絵本は初挑戦。「スタンプをおす絵本」「店めぐり」といった特徴的な要素が盛り込まれた企画に挑戦することになった経緯や企画に掛けた想いなど、制作の裏側をシナリオライターの佐藤泰恵と兎月竜之介に訊ねた。

(※1)絵本
storynote初の絵本作品は、会社設立五周年を記念して公式YouTubeチャンネルで公開されたオーディオブック『行商猫のクリストフ』。朗読やナレーションも社員が担当している。

(※2)『まいごの女の子とトレンディ☆ゴースト』
ページの一部が空白になっている絵本。実施エリア内の5つのスポットを巡り、スタンプをおすことで物語が読めるようになる。稲城市に加え、10/29(日)からは町田市・東村山市・平塚市も実施エリアとなった。八王子市や所沢市など、今後も多くの市町村にエリア拡大準備中。最新情報は、オバケの「クセ毛」がXInstagramで発信中。

【あらすじ】
いたずらオバケに連れ去られ、オバケの町に迷い込んだ女の子。
女の子は、帰り道も、名前も思い出せなくなっていました。
そこに、ヘンテコなオバケ「エリー」がやってきて……
女の子は「エリー」に導かれ、名前を思い出す冒険を始めます!
名前を思い出すキッカケになりそうなお店を訪れる二人。
それぞれの場所で、「エリー」は女の子に、生きていくために大切なことを教えます。

インタビュー

企画が始まった経緯を教えてください。

佐藤:
藤澤(代表)が「自分たちだけで最後まで作り切れるモノの企画を立てよう」という社内ワークショップを始めて、その中から生まれました。【童話×スタンプラリー】で、“絵本の空白を埋める=記憶喪失の女の子の記憶を埋める”というコンセプトのもと企画書とあらすじを作成して、実際に製品化までたどり着いた最初の作品になりました!

兎月:
こういった絵本を読むのは女の子だろうということで、エリー(※3)は最初お姫様や魔女っ子のようなタイプのキャラクターを考えていました。しかし実際に選ばれたのは「バブリーなオバケ」でしたね(笑)。そのときの藤澤の判断が「普通じゃないものを」ということで、案を出した自分としても、驚くと同時に勉強になったことを覚えています。

(※3)エリー
オバケの町に迷い込んだ主人公の女の子を助けてくれる、ファンキーでバブリーなオバケ。「ノット☆トレンディ!」が口癖。

企画を進める上で、大変だったことを教えてください。

佐藤:
シナリオだけでなく、プロダクトやプロモーションまですべてを体験する企画主旨だったので、全部大変でした! 印刷会社を自分たちで探したり、「どうやってこの企画を売るか」と考えたり……宣伝にも費用がかかるので、ずっとお金とにらめっこでしたね。

兎月:
本当にそうですね。企画の肝になるスタンプ(※4)も手作りするなど、できるだけコストを抑えられる方法を探していました。あとは、紙面の文字とはずっと格闘していた覚えがあります。ネタバレの部分をうまくスタンプで隠せるよう文字の大きさを調整したり、本のサイズにおさまるよう文字数を削りに削ったり……。

(※4)スタンプ
空白の絵本は、本に記されたマークと同じスタンプをおすことで文章が完成する。これらの事務用品の手配や組み立ても、すべてチームのシナリオライターたちが行なった。

佐藤:
「持ち運びできる」という条件や値段を考慮して、本は御朱印帳くらいのサイズにしようとなりました。小さいページでも読みやすいサイズのフォントにしつつ、重要な文字は隠さなければいけないなど、何から何まで微調整の連続でしたね。藤澤からは「今後の自社企画のパイオニアになるように」と言われていました。プレッシャーもありましたが、結果的にこの企画を通して、会社として様々なノウハウが蓄積されたと思います。

兎月:
そうですね。一度この企画をやったことで、社内で絵本や冊子を作りやすい環境が生まれたと思います。

▲制作風景:ひたすら手作りする様子

絵本の制作過程について教えてください。

佐藤:
イラストは北海道出身のイラストレーター兼デザイナーの「イトゲキジョー」さん(※5)に、挿絵だけでなく、絵本全体のアートディレクションを含めてお願いしました。イラストレーターの選定は、チームメンバー各々SNS等でシナリオに合う&好みの絵柄の方を探して、それぞれ協議しました。その中で、イトゲキジョーさんの他の誰とも違う、ユニークでポップで、少しシニカルな物語性のあるイラストに惹かれ、お声がけしました。

(※5)イトゲキジョー
絵本の挿絵からWEBデザイン、アニメーションの制作までこなす、北海道在住のイラストレーター。
X(Twitter):https://twitter.com/itogekijyo

佐藤:
絵本の印刷や製造は、株式会社+designさんにご依頼しました。本のつくり方なんて本当に1ミリもわからなくて、台割やページの数え方から教えていただき……。スタンプのインクが染み込みやすい紙の選定や絵本に合った表紙の加工など、何から何までお世話になりました。

この企画は会社としてもはじめての試みで、我々も知識がないことばかりだったのですが、イトゲキジョーさんや株式会社+designさんなどなど、様々な方に助けていただいて、なんとか形になったと思っています。

この企画に込めた想いを教えてください。

佐藤:
この企画は、親子で出かけて「自分たちの手で物語を完成させる」という、特別な思い出を提供したく、立ち上げました。

そして物語には、子育てで大変な時期のご両親に、大変だと忘れがちになってしまう大切なことをエリーの言葉で届け、少しでも楽になっていただければという想いを込めました。
「がんばって怠けなくちゃダメ」
「クヨクヨしたっていい。悩む時間がまたがんばる力になる」
そんなことを。

お子様は、数年後に絵本を読み返したときに、何かを感じていただければ……。
私たちは、そう願ってつくりました。

兎月:
親子で絵本を楽しんでいただきたいということはもちろん、この企画を通して、地元の行ったことのないお店や、ちょっと離れた街に足を伸ばすきっかけにもなれたら嬉しいと思っています。そして、そのお店や街のことも好きになってもらえたら幸いです!