漫画のキャラが現実世界に!?
虚構と現実が交錯する
リアルタイムアドベンチャーゲーム
『交錯≠少女』は「東京侵蝕2025」(※1)に連動して開催されたリアルタイム型ARGだ。約一か月にわたって、漫画の世界から現実にやってきた少女をめぐる物語が繰り広げられた。
期間中はほぼ毎日ミッションが出題され、調査支援サイト「クロスアーカイブ」(※2)はわずか2週間で100万アクセスを突破した。
SNSを中心に大きな話題を呼んだ本作。その背景にはどんな取り組みがあったのか。
監督補の和田開に、制作の裏側を訊ねた。
(※1)「東京侵蝕2025」…2025年4月15日~20日に開催された、第四境界初のリアルイベント。詳しくはこちら。
(※2)「クロスアーカイブ」…本作のあらすじや調査の手掛かりをまとめた特設サイト。こちらからアクセスできる。
インタビュー
監督補 和田開
企画が始まった経緯を教えてください
企画が立ち上がったのは、2024年の秋ごろです。『東京侵蝕2025』の開催にあわせて、イベント会場とオンラインのどちらからでも参加可能で、それぞれ別の体験ができるARGに挑んでみよう、となりました。
企画が進む中で、「東京侵蝕とは何か?」「交錯員(※3)の方々に喜んでもらえる企画とは?」という議論を重ねる中で構想がどんどん膨らんでいき、気づけばイベントを象徴するほどの大型企画になっていました。
最初に決まったのは、「漫画の世界から現実に迷い込んだ少女を見つけて元の世界へと帰す物語」というコンセプトです。脚本は藤澤(総監督)が担当し、それをもとにチームで具体的な体験設計を進めていきました。
ちなみにタイトルを決めたのも藤澤で、「≠」は「少女が二つの境界を越えてきた」ことを意味しているそうです。
(※3)交錯員…第四境界作品のプレイヤーの総称。
本作ならではの特徴を教えてください
“虚構と現実の交錯”をテーマに、「日常侵蝕」の体験に特化したARGになっています。登場人物の「金澤かな」が実際に都内各地に現れたり、イベント会場内でミッションに挑戦できたりと、インパクトの強い侵蝕体験を随所に盛り込んでいます。

会場内でミッションに挑む交錯員の様子。会場内にいる「ギビングリリーフ」のスタッフに話しかけることで、物語が進行する仕組みになっていた。
現地に来られない方向けにも、オンライン上で楽しめるミッションを制作しました。たとえば「堺かな救出作戦」。誘拐された少女を救出するリアルタイムの謎解き配信でしたが、チャットに書き込まれたコメントをその場で配信に反映するなど、こちらも臨場感あふれる体験になっていたと思います。

「堺かな救出作戦」の様子。金澤かなと交錯員たちがチャットを通してやり取りする場面もあった。
実際のイベントがあるおかげで実現できたことも多く、普段なら難しいような試みにも挑戦できました。そのぶん苦労も多かったですが、「これまでにない物語体験を作っている」というやりがいを感じながら制作できました。
金澤かなの出現は、特に大きな話題になりましたね。
三日間にわたって「ららぽーと豊洲」「ららぽーと立川立飛」「東京タワー」の三か所に金澤かなが出現しましたが、私たちが日常的に訪れる商業施設に物語の登場人物が現れるという体験は、想像以上のインパクトがありましたね。私も「本当に金澤かながいる……」と不思議な気持ちになったのを覚えています。

東京タワーに現れた金澤かな。彼女の姿を写真に収めるため、多くの交錯員が集まった。
また彼女の出現を通じて「こんなに多くの方々がこの物語を追ってくれているんだ」と肌で感じられたことは、とても大きな励みになりました。人が多すぎても少なすぎても破綻しかねない難易度の高い企画で、不安も大きかったのですが、すべて杞憂でした。関係各所のご協力のおかげで実現した、奇跡のような時間だったと思います。
リアルタイム進行ならではの悩みや、苦労した点はありましたか?
もっとも試行錯誤したのは、謎解きの難易度設定です。色々と思考錯誤があったのですが、最終的には、かなり高めの難易度に設計し、交錯員の皆さんの謎解き力を信じるという判断になりました。
いざ謎が出題されると、想定を大きく上回る速さで次々と謎が解かれていき、皆さんの頼もしさを実感しましたね。むしろ「もっと難しくても良かったのでは」という声が社内であがっていたぐらいです(笑)。
そういった経緯もあり、本作は我々だけでなく、交錯員の皆さんと共に作り上げたという感覚が特に強いです。そう感じられたのもリアルタイム進行ならではだったと思います。
現地で上映されたエンディングでは、涙を流している人もいました。どんな想いをこめて制作しましたか?
大きなイベントと連動したARGを制作できる機会は、そう多くありません。遊んでくださった人の記憶に残るような特別な体験をお届けできる貴重なチャンスだと考え、全力で取り組みました。
会場内のシアターブースには私もときどき顔を出していましたが、拍手をいただいたり、感極まって涙を流す方もいらっしゃったり、とても嬉しかったです。私自身も、無事にエンディングを迎えられたことに安堵しつつ、楽しいお祭りが終わってしまうような寂しさもあって、とにかく胸いっぱいでしたね。
スケジュールがタイトだったことや、私の力不足もあり、チームメンバーや関係会社の方々には色々とご迷惑をおかけしてしまいましたが、それでも最後まで共に走り抜けてくださったことに心から感謝しています。

会場内のシアターブースで本作のEDを見ることができた。Youtube上でも公開されており、こちらから視聴できる。


