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2023.08.31

// 実績紹介

物語書きとして、すこし恥ずかしいと思ったこと

藤澤 仁(storynote代表)

物語づくりを生業として以来、ずっと考えてきたことがあります。
それは、「物語の楽しさって、どうすればもっと気軽に共有できるんだろう」ということです。

たとえば絵描きなら、自作の絵をSNSで披露したり、個展を開いてファンの人に見てもらったり。ミュージシャンなら、Youtubeで新曲を発表したり、コンサートでファンと時間を共有したり。それぞれの道に、それぞれの共有手段が存在します。

「じゃあ、物語だと?」
この答えを、僕はずっと見つけられずにいます。

『物語』というのは、映画、ゲーム、漫画のような複合アートの中では、なくてはならない主役級の存在のはずです。
にもかかわらず、それ単体(に近い状態)では理解が難しく、時間と精神力も要します。

「絵本の朗読をYoutubeで流すのはどうだろう」
「朗読劇のイベントをやってみるのはどうか」

時折そんなことを考えてはみるものの、実行に移したことはありません。
なぜ? 結局のところ、うまくいかない気がしている自分がいるのです。
「Youtubeで絵本なんか流したって、きっと見る人いないよな」と。

そんな思考の空転を繰り返していたある日、僕は何の前触れもなく、ひとつの気づきに至りました。
そして、なんだか自分が恥ずかしいと強く思ったのです。

「物語の力を一番信じてないのは、自分じゃないか」

物語制作会社を営んで、物語の持つ力を誰よりも信じている。そう思っているはずの自分が、一番物語の力を疑っている。そんな風に思えてしまったからです。

もう躊躇するのはやめよう。僕はそう思いました。
物語の力を信じ、大勢に見てもらえるかどうかとか、そういうことは考慮せず、自分が自分の作品だと胸を張って言える作品を発表していこう。
そう思ったのです。

この『行商猫のクリストフ』(絵本のオーディオブック)は、その一作目です。

車イスの少年と黒猫の友情を描いた物語で、もともと自分が企画していたゲームに使う予定のストーリーでした。
そのゲーム企画は残念ながら実現しなかったのですが、ストーリー部分はかなり固まっていたので、絵本フォーマットにリノベーションしました。

今後の展開などは何も決まっていません。
本にする予定すらありませんが、自分なりに丁寧に作品を育てていきたいと思っています。

応援してくれる方は、よければ動画をご覧いただき、クリストフとともに世界を旅し、動画のコメント欄に感想など残していただければ非常に嬉しいです。

2023.8.31
藤澤 仁