2023年もあっという間に過ぎ去り、残りわずかとなりました。
年末年始に向けていかがお過ごしでしょうか?
今回は『シナリオライター30人に聞いた!』企画の第2弾です。
ストーリーノートのシナリオライター30人に『2023年ベスト作品』を聞いてみました。
(第1弾『好きなジブリ作品』はこちらから!)
30人のシナリオライターたちは、今年どんな作品に出会ったのでしょうか?
さっそく、部門ごとに選んでいただいたベスト作品をご紹介していきます!
※2023年に観たり読んだりしたものが対象なので、過去の作品も含まれています。
マンガ部門
『キングダム』
今さら読み始めました。
強者同士の戦いを、説得力を損なわないように描き切っているのがすごい。
登場人物もあれだけいるのにみんなキャラが立っていてかっこいいし、目的と行動がずれているキャラもいない。
しばらく単行本を買ってなかったので、10冊くらいまとめ買いして追いついた。
個人的に好きなキャラが死んで残念だったけど格下げしない死に方だった。
『K2』
医療への興味も持たせてくれる最高に面白いマンガでした!キャラが本当に魅力的で……!
短く簡潔で魅力的なエピソードを長年続けている安定感がスゴい!
さらに、その上で大きなストーリーラインも動かしていく。
純粋な悪人がほとんどおらず、高潔ないい人揃いなのに、効果的なコンフリクトが描かれているので登場キャラがみんな魅力的。
その手腕に、一読者としてもシナリオライターとしても脱帽です。推しキャラは譲介です。
『ドラフトキング』
野球というとプロ野球か甲子園というイメージでしたが、この漫画で一気に世界が広がりました!
野球の正道を歩めなかった人たちがクローズアップされており、その奮闘ぶりに励まされました。
『are you listening?』
素敵な海外漫画に出会えた一年でした。
「心に傷を負った2人の女性+迷い猫が、地図に無い場所を目指して旅する」というエモストーリーはもちろん、漫画表現も感情的で美しかったです(特にラストシーンが好き)。
『これ描いて死ね』
漫画家漫画に外れなしといいますが、これは本当に良い漫画家漫画。
漫画を描くのが好き!という、ただそれだけの気持ちで創作活動をする、その純粋さが眩しすぎて背筋を伸ばしてしまう作品。
ゲーム部門
『原神』
「原神がある時代に生まれてよかった」それくらい衝撃と感動を与えてくれたゲームです。
デザインも良い、キャラクターも良い、ゲームも楽しい、操作性もスムーズ、一つのゲームで色々できてしまう……。
これ本当に無料でいいんですか????
圧倒的なグラフィック。
実装された” 水の国” が今までの原神で一番好きなストーリーだった。
『パラノマサイト』
限られた素材で作り上げられたホラー感・サスペンス感が素晴らしく、久しぶりに熱中してプレイしました。
ストーリーの面白さは大前提として、少ないリソースを演出でどれだけリッチに見せるかの良い勉強になった。
基本的に立ち絵のみで差分も少ないのに、見せ方が上手なのでどのシーンもエモーショナルだった。
『outer wilds』
いわゆる”フラグ”や誘導がなく、プレイヤーの好奇心の赴くままに自由に宇宙を冒険できるゲーム。
断片的に集まっていく情報が1つの線として繋がったときの快感が凄まじい。
このゲームを再び初見プレイするために記憶喪失になっても良いと思えるぐらい、唯一無二の体験ができる神ゲーでした。
『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』
シナリオ量は少ないはずなのに、ボリューム不足はまったく感じませんでした。
不要な展開を効果的に削ぎ落としたことと、高レベルなプロット構築、そして演出の妙ゆえだと思います。
ゲーム性も音楽も、何から何まで素晴らしかった。
『SEASON: A letter to the future』
1人の少女が自転車で旅をするというシンプルなゲーム。
海や山や森といった美しい自然の景色を楽しみながら、本当に旅をしているような没入感がありました。
道中で出会う人々との交流も、友人や家族ほど近づけはしないものの、行きずりの旅人だからこそ繋がれる独特な距離と瞬間があり、心地よい雰囲気で進められます。
ボリュームは長すぎず、シナリオも重たいものではないので、気が向いた時にサクっとプレイできました。
『ドラゴンクエストモンスターズ3 魔族の王子とエルフの旅』
ドラクエ4の世界がモンスターズに来ること、ピサロのifストーリーを楽しめること、などなど、とにかく面白さ満載です。
いつの間にか体験版を50時間くらいプレイしていました。
DQMジョーカーを小学生の時にやってからのファンです。モンスターをデカくする、強くする。ただそれだけでも楽しいです。製品版は何時間になることやら……。
映画部門
『RRR』
「これがエンタメだ!!」と、ぶん殴られた気持ちになったのは『RRR』でした。
「そうはならんやろ」っていうツッコミどころ満載ですが、そこが良いんですよね……。
長尺映画ですが、最後まで飽きることなく楽しめた作品です。
構成が美しく、そして演出が緻密でありながら大胆!剛腕!音楽もダンスも素晴らしい!
『怪物』
監督:是枝裕和、脚本:坂元裕二、音楽:坂本龍一という錚々たる顔ぶれで製作された映画でしたが、単純に「どえらいものを観た」という感想です。
手放しに称賛される誰もが観るべき映画とは絶対に言えませんが、観た後にこの映画が残していったものは巨大で深く太く、自分の中に刺さっていると思います。
人間を限りなく「生」に近いまま映し撮る是枝監督の技術と、観る者の興味や焦燥を掻き立てる坂元さんの脚本、聴いた人の奥底にある琴線へ触れる坂本さんの音楽、それらが合わさった時に生まれる未だかつてない映画で、今年の作品であの衝撃に勝るものはないという気持ちでベストに選びました。
『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』
和の因習村が大好きなので、「こういう因習村が見たかった!」欲が満たされた。
作画もよい。キャストもよい。特に関俊彦氏の円熟した演技が、人外の存在の達観した雰囲気を上手く表現していたと思う。
男性バディが話題だが、個人的には女性キャラクターが全員重たくてすごく良かった。
『グリッドマンユニバース』
100点満点中、100億兆点。
アニメの続きとしての劇場版、その大正解なやつです!
『ファイト・クラブ』
こんな完璧な140分ある!?という映画。
1999年の映画なのがまったく信じられないくらい、今が初見でも色あせない。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME3』
堂々の完結編。劇場で三回泣きました。
『エンドゲーム』以降のMARVEL作品の中でもトップレベルの出来でした。
『ニモーナ』
掴みからお手本のように面白さが詰まった最高のエンターテインメント。
映像もエネルギッシュで気持ちよく、生きる活力がもらえるパンクな作品。
ストーリー、映像美、テンポの良さ、ほどよいポリコレとすべてにおいてバランスが良かった。
小説部門
『あなたの人生の物語/テッド・チャン』
深遠なテーマに関する精緻な洞察を見せられ、読了後には魂のステージが上がったような心地になった。
『嫌いなら呼ぶなよ/綿矢りさ』
現代の若い世代の価値観を具体的かつ高解像度で描いた短編集。
世の中のくだらない常識や偉そうな上の世代、面倒な人間関係に対する毒が書かれていて、読んでいて痛快でした。
特に「老は害で若も輩」は電車に乗っているときに読んだんですが、笑いをこらえるのが大変でした。
『罪と罰/ドストエフスキー』
初めて読了しました。
もっと重くて訓示的な物語かと思ったら、予想外にエンタメ性が強く、長編ではあるもののスルスルと読めてしまいました。
読み方によって様々な意図やメッセージを読み取れる名作だと思います。
『近畿地方のある場所について/背筋』
ホラーモキュメンタリーの小説です。
これはとても面白く、民俗系ホラーが好きな方には強くお勧めします。
オムニバス的にバラバラな怪談が語られますが、最後まで読んだ時の真相に肝は冷えますしホラー筋が大興奮します。好きな方は是非。
ワクワク・ゾクゾクしながらリアルタイムで追っていました。
活字は苦手な方なんですが、モキュメンタリーだったので読みやすかったです。
また、近畿地方住みなので、余計に怖かったです……。
『トゥルー・クライム・ストーリー/ジョセフノックス』
6年前に失踪した女子大学生の失踪事件について、当時の関係者にインタビューし調査をまとめたノンフィクション本......という体のフィクション本です。
インタビューをまとめているため、地の文はほぼなく小説なのかも少し微妙なところですが、この本を読み進めていくことで得られる興奮と、育まれていく疑心は唯一無二のものだと思います。
インタビューに答える関係者たちは当然ながら主観で語るため、誰が本当に真実を語っているのか次第にわからなくなっていきます。
最終的には「こんな人まで?」と思う人物まで疑ってかかるようになり、本の特性を活かしたエンタメでとても楽しめました。
アニメ部門
『葬送のフリーレン』
演出センスと作画が凄い。このアニメをキッカケに、漫画にもハマってしまいました。
ザインの隣で「もう付き合っちゃえよ!!!(テーブルにお酒ドンッ)」と思いながら、フェルンとシュタルクの行方を見守るのが楽しいです。今後の展開も気になりますね。
とても見やすいアニメでした。
展開とそれに伴う感情がしっかりしていて、かつ世界観のどこか儚げな雰囲気がとても好きです。
キャラクターの機微をしっかり描いているのも良いな~と思いました。
原作をずっと読んでいるので展開は全部わかっているのに、毎回演出の妙で泣かされてしまう。マンガを動画化するにあたっての足し引きが本当に上手だと思う。ヒンフリは至高。
「進撃の巨人」
ここでは語り切れないほどの壮大な物語と伏線の数に毎回驚かされていました。
ついに10年の月日を経て、最終回を迎えましたが、この何とも言えない気持ちにさせるラストにすごくいいものを見た……とソファに深く座り込むほどでした。
「スコット・ピルグリム テイクス・オフ」
アニメーションもシナリオも最高で、最初から最後まで引き込まれっぱなしでした。
初見の人も楽しめますし、原作や実写映画版を知っている人なら「こう変えてきたか!」と感心すること間違いなしです。
『スキップとローファー』
漫画が好きなので見ていましたが、見逃してしまいそうな細かな描写まで忠実に描かれていて、とても丁寧な作りでした。
いわゆる「思春期の男女の葛藤からしか得られない成分」的なものを補給できました。
『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』
前作『スパイダーバース』も圧巻のクオリティでしたが、今作はそれを凌駕する見応えと映像で「アニメでこんなことできるのか」と「アニメじゃないとこれはできない」という驚きと興奮の連続で、息つく暇もないジェットコースターのようなアニメでした。
前後編の前編という役割上、様々な問題を提起しておく必要がありますが、それらの情報をこれでもかと映像に盛り込んでおり、観るだけなのについていくのに必死です。
後編への引きも、多くの伏線を残しつつ煽りに煽って終わり、絶対に続きを観るしかないと思わせる作りになっている点も、素晴らしいと思います。
ドラマ部門
『フェンス』
取り扱う題材に対する真摯さに心打たれた。
『いちばんすきな花』
昨年社会現象にもなった『silent』の生方美久さんが脚本担当のドラマです。
普段感じてはいるし思ってはいるけど、他人と関わっていく中でどこか押し殺してしまいがちな気持ちや個性、それらに光を当て最大限に尊重し守っていくような温かい内容で、木曜の22時という枠に丁度いい、素朴だけど素敵なドラマだと思います。
『First Love 初恋』
恋愛ドラマで苦しくなるくらい涙を流したのは初めてです。
観たら最後、晴道と也英、どちらにも恋をします。
観ているこちらが置いて行かれるのは恋愛ものにありがちだと思いますが、この作品では二人にこれでもかと手を引かれ、振り回され、すっかり感情移入してしまいました。
『ムービング』
最初は超能力を持つ子どもたちの日常かと思いきや時代が変わり、親世代たちの異能力アクションバトルへと変貌!
子どもたちがピンチな時に駆け付ける姿はまさにヒーローで、目の離せない展開に毎話楽しみに見ていました。
その他部門
『ゾゾゾ』(Youtubeチャンネル)
社員の方から教えてもらったホラーコンテンツです。
企画や編集スキルがすごく高くて、怖いときはガッツリ怖い。
でも、メンバー間の無茶ぶりや、絡みが笑えて面白いです。
コミカライズ版を買ったり、別番組も見てみたりと、現在進行形でハマっています!
『すみっコディスコ/Perfume』
「たぴゅーむ」バージョンのPVがとにかく可愛い。
クセになるキャッチーなメロディも良きです。
『YOASOBI』
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』『【推しの子】』『葬送のフリーレン』と、ビッグタイトルのTVアニメの主題歌を次々と担当したYOASOBIの存在感がすごかったです。
『ヒマリとくま』(Youtubeショートアニメ)
1分くらいで観られてとてもかわいいので。
『あの夏いつかは/nornis』
今年一番好きになった楽曲。
過去を振り返ってまたあしたに向かっていく少し寂しい雰囲気がとても好みだった。
『桜井政博のゲームについて思うこと』
『ゲームの歴史の教科書』であり、『ゲームクリエイターの指南書』でもある1冊!
桜井さんのyoutube動画を欠かさず見ている人にオススメです。
いかがでしたか?
好みによって様々な作品があげられましたが、『RRR』や『葬送のフリーレン』など、人気作品は複数の方にベストとして選ばれていました。
どのジャンルでも、ベストに選んだ理由はとても熱く語られており全ての作品に触れてみたくなってしまいます......!
年末年始は気になった作品をゆっくり楽しむのもいいですね✨
みなさんも、2023年ベストを決めてみてはいかがでしょうか。
そして、よければ公式Xなどで教えてくださいね☺️
今年もたくさんの素敵なクリエイティブ作品に触れられて、心が満たされた1年でした。
来年はどんな作品との出会いがあるのか、今から楽しみで胸が高鳴りますね。
それでは、よいお年をお迎えください。
以上